ないのかね。号外は出たのかね」
「いや、どっちも今、報道禁止にしてあります。そんなことを知らせては、どんなさわぎが起るか、大変ですからね」
 課長は、ほんとうに心配そうな顔をして、そう言った。
「そんなことは、一刻も早く、全国の人々に知らせるのがいい。かくしておくのは、かえってよくない」
 地球とモロー彗星とが、やがて衝突するであろうというニュースを、博士はすぐさま人々に知らせよと言う。
「もちろん、いずれ知らせますが、その前に、我々は、十分責任のある用意をしておかなければなりません」
 と、大江山課長は言う。
「責任のある用意とは?」
「それは、つまりその恐るべきニュースを聞いて、あばれ出す奴が出たら、すぐ捕えてしばり上げる用意をすることです」
「そんなつまらんことを、心配するには及ばないだろう。もっと大事な……」
「そうです。我々はそれも考えています。第二の用意は、その衝突が果してほんとうに起ることかどうか、それをたしかめなければなりません」
「よくよく、ばかばかしいことを考えたもんだ。それよりも、もっと……」
「まあ、お待ちなさい。我々の第三の用意は、もしほんとうに衝突が起るもの
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