からと、そう言ってくれ」
 と言えば、課長の前にかしこまっていた取次の刑事巡査は、ほっとした面持で、
「はい、そう申します。いや、どうも、あの蟻田博士という人は、扱いにくい人で困りましたよ」
 と言って出て行ったが、間もなく入口のところで、その巡査の言争う声が聞えた。
「もし、蟻田博士、困りますなあ。こっちへ、はいることはなりません」
「いいやかまわん。大江山氏がすぐに会うというのだから、わしの方で、はいって行くのは、一向かまわんじゃないか」
「だめです、博士。応接室でお待ち願います」
「おうい、まあいい、博士をこっちへお通し申せ」
 博士は、相変らずなかなか強情であった。白髪あたまをふりたてて、つかつかと大江山課長の前に近づくなり、
「おお、大江山さん。留置場にいる千二という少年に会いたいのだ。すぐ会わせてくれたまえ」
「千二少年ですか。彼は……」
 と言いかけて、
「博士は少年に何用ですか」
「うむ、千二が、一しょにつれになっていた丸木という怪漢について、話を聞きたいのだ」
「丸木? 博士は、丸木について、何をお知りになりたいのですか」
 と、大江山課長は、博士を怒らせないように、
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