だね。何かあれに似たものがいたが、はて何であったろうか」
と、新田先生は、しばらく考えていたが、
「ああ、そうそう。これは熱帯地方にあるものだが、たこの木という植物がある。これは、今見えているあの怪しい動物のように、小さいものではなく、大きな木だけれど、そのたこの木のかっこうが、どこやらあの動物に似ている」
「先生、今下に見えているのは動物ですねえ。そのたこの木は、植物なんでしょう。たこの木と言っても、動けないのでしょう」
「もちろん、そうだ。地面に生えている大きな木だから、動けるはずはない。千二君、先生は、形のことだけを考えて、たこの木に似ていると言ったんだよ」
いくら考えても、この不思議な動物の正体は、わかりそうもなかった。
「ああ、先生」
と、その時千二が叫んだ。
「何だい、千二君」
「先生、一ぴきだけかと思ったら、まだ奥の方に、もう一ぴきいますよ」
「なに、二ひきだって。どれどれ」
檻の奥の、うす暗いところを見ると、なるほど、もう一匹の怪しげな動物が、眠っているのか、丸くなっている。
地底にうごめく二匹の怪しい動物!
新田先生と千二とは何だか、夢を見ているような気が
前へ
次へ
全636ページ中209ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング