。すると、いよいよ君は、もぐりの警官だということになる。おれは、本庁随一の腕利刑事で、佐々というけちな男だ」
「えっ」
「おれが腕利だということは、もう四、五分のうちに、君にもわかるだろう」
「なにっ」
相手の警官は、思わず一、二歩、うしろへ下った。
「――ということは、おれは偽警官の貴様をふんじばって、留置場へのおみやげをこしらえようとしているんだ。こら、神妙にせい」
佐々刑事は、いきなり相手におどりかかった。
相手の警官は、逃げるひまがなかった。佐々は、彼を、その場に押したおそうとしたが、
「おや、貴様は、何を着ているのか。うむ、鎧《よろい》を着ているんだな。いよいよあやしい奴だ。神妙にしろ!」
と、ねじふせようとした。
ところが、相手は、佐々に抱きつかれたような恰好だが、びくともしなかった。
「それを知られたからには、貴様の命はもらった。かくごしろ」
ううんと、相手は、うなった。そうして、あべこべに、佐々の胴中へ手をまわし、ぎゅうとしめつけた。
「なまいきなまねをしやがる。貴様は、佐々刑事の強いのを知らないと見えるな」
相手の警官は、なかなか強かった。
のどに繃帯
前へ
次へ
全636ページ中177ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング