じゃないのかね」
「ああ、そうかもしれない。とにかく、その千二という子供に会いたいという者があって、それからの頼みで探しているんだ」
「へえ、そうかね。で、それを頼んだ者というのは、誰かね。もしや、丸木とかいう、怪しい男じゃなかったかね」
「丸木?」
 と、顎に繃帯を巻いた警官は、何にびっくりしたのか、ちょっと口ごもったが、
「ああ、あの丸木なら、もう死んでしまったじゃないか。ほら、あそこで皆が、火をたいて集っているが、丸木は、自動車に乗ったまま、この向こうの崖から墜落して、死んでしまったということだよ。丸木は、もうどこにもいない」
「ほう、君は、丸木のことをよく知っているね。それから、千二少年のこともよく知っているらしい。一体、君は、どこの警察署の人かね」
「わしのことかね。わしは、そのう、つまり日比谷《ひびや》署の者だ」
「うそをつけ!」
 佐々刑事は、何と思ったのか、顎に繃帯をまいている警官に、うそをつけと、はげしいことばを吐いた。
「何が、うそだ。警官に対して、何をいうのか。お前こそ、どこの何者だ」
 相手は、きびしく、佐々に向かって、逆襲して来た。
「君は、おれを知らないのか
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