りして、
「な、何をする!」
と叫んで、横にとびのいた。
「やあ、失敬失敬。いや、その繃帯はどうしたのかと思ってね。どこで怪我をしたのかね」
「かぜをひいたのだ。それで繃帯をまいているんだ」
相手はつっけんどんに言った。
「そうかね。かぜをひいているのか。でも、あごまで繃帯で包んでしまうなんて、君はずいぶん変っているね」
「ふん、おれのすることに、君が口出しすることはないよ」
と、相手はおこったような、ものの言いかたをした。
「君が探している子供というのは、一体どうした子供なんだね」
佐々刑事は、かわり者の警官に、それをたずねた。
「ああ、その子供というのはね、背が、これくらいの少年なんだ」
と、顎に繃帯したその警官は、自分の胸あたりに、手をあげた。
「名前は?」
「名前は――名前は、千二というんだ」
と、警官は言った。
「千二というのか。はて、聞いたような名前だが……」
佐々刑事は、小首をかしげた。
千二? そうだ、千二といえば、あの天狗岩事件や銀座事件で、つかまったあの少年が、千二という名前だった。
「千二というのは、けさ警視庁から放免された千葉県生まれの少年のこと
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