をまいて、かぜをひいているとか言っていたので、さぞ弱い相手だろうと思っていたが、なかなかどうして、強かった。佐々刑事は、たじたじであった。
二人は、組みついたり、離れたり、うちあったりしたが、なかなか勝負がつかない。
こんな場合、佐々刑事は、もっと早く助けをよぶべきであったと思う。ところが佐々は、自分一人の手柄にしようと思って、大いにがんばったのであった。
ところが、どうも佐々の方が旗色が悪い。助けの声を出そうにも、声を出す隙さえないという有様だった。
「あっ……。うむ」
「ぶうーん」
「やっ。えいっ」
「ぶうーん」
苦しいかけ声をかけているのが佐々刑事で、相手の警官は、ぶうーんと、妙なうなりごえをあげる。どこまでも、かわった人物だった。
(こいつは手ごわい相手だ。ぐずぐずしていると、あいつの鉄拳で、こっちの肋骨を折られてしまうかもしれない。何とかして、早いところ、相手をたおしてしまわねばならぬ!)
佐々刑事は、だんだん無我夢中になって来た。どこか、相手の隙はないか。
そう思っている時、彼は、一つの隙を見つけた。
「これでもかっ!」
佐々刑事は、飛びこみざま、相手の顎を下
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