突破したんです」
「ほう、らんぼうだね。それじゃ、自殺するようなものだ」
「そうです。僕は、もう死ぬことを覚悟しました。すると、そのとき丸木は、片手で運転台の扉をさっとあけました。そうして、僕の体を、力一ぱい、車の外へどんと突きとばしたんです」
「なるほど、なるほど」
「僕は、思わず目を閉じました。頭をぶっつけては即死だと思ったので、両腕で、自分の頭を抱えるようにしたことまで覚えています。それから後のことは、なんにも知りません。丸木がどうしたのか、自動車がどうなったのか」
「それで……」
「気がついてみると、僕の頬ぺたが、ちくちく痛いのです。それから、だんだんと正気にもどってみますと、僕は、さつき[#「さつき」に傍点]という木がありますね。あのさつき[#「さつき」に傍点]の繁みの中にころがっていたんです」
「ふん、さつき[#「さつき」に傍点]というと、この屋敷にも、たくさんあるが……」
「そうなんです。そのさつき[#「さつき」に傍点]は、この屋敷のものだったんです。僕の落っこったところは、屋敷の外まわりに芝の植っている堤がありますね。あの堤を越して、下にごろごろと落ちて、気を失っていた
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