は、腕ぐみをしてしゃがんだまま、しきりに頭をふったが、この部屋の謎は、一向にとけなかった。
 先生が、考えこんでから五、六分のちのことであったが、ふと先生は、あやしい物音を耳にした。
「おや、何の音だろうか、あれは……」
 先生は、けげんな顔で、聞耳をたてた。
 ごとん。――しばらくして、また、ごとん。
「ああ聞えた。あれは一体何の音だろうか。うむ、床下から聞えて来るようだ」
 先生は、足音をしのばせて、立ちあがった。どこかに、床下へはいる場所がありはしないかと、部屋の中を見まわしたが、何しろ、とっさのことでもあり、そんなものは見あたらなかった。
(どうしたら、床下が見えるだろうか?)
 先生は、考えた。
 ごとん。ごとん。
 又しても、怪音は床下から聞えて来る。
(そうだ。庭へ出て、外から床下をのぞいてみよう)
 先生は、そう決心すると、さらに足音をしのばせて、そっと部屋をたち出でた。


   18[#「18」は縦中横] 命びろい


 床下の怪音!
 新田先生は、その怪しい音こそ、蟻田博士の秘密室の謎をとくものであろうと思った。
 先生は、くらがりの庭を、足音をしのばせて、秘密室
前へ 次へ
全636ページ中164ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング