りかえして見ましたが、運転手の死体はおろか、骨一本も、そこには見当らなかったのですからね」
 と、交通主任は、その時のことを思い出したらしく、ここでもう一度不思議そうな思い入れをして、首をかしげた。
「で、少年の死体は?」
 課長は、やっと一言、口を出した。
「実に、不思議という外ありません。運転台に一しょに乗っていたはずのその少年の死体も、やはり見当らないのです。全く、こんな不思議なことは、生まれてはじめてです」
 交通主任は、「不思議」を盛にくりかえすのだった。
「まさか、君たちが見あやまったのではないだろうね」
「見あやまり? そ、そんなことは、けっしてありません」
 交通主任は、これを報告して来た白バイの巡査をたいへん信用していたので、課長から、見あやまりではないかと言われると、一生けんめいにべんかいした。また、墜落現場へは、自分もいってみて、共に二人の死骸をさがしまわったのだった。
「不思議だ。どんなに考えても、ありそうな話だとは思われない」
 課長は、腹立たしいような顔をして、握り合わせた両手で、とんとんと机の上を叩いた。
「課長、この話ばかりは、まじめに聞いていられません
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