は、話し方を知らないね」
「いえ、課長さんが、もう少し黙っていて下さると、話しよいのですが、むやみに、おいそがせになるもんですから困ります」
「何だ。手のかかることだね。よろしい、では、君が喋り終えるまで、こっちは、一言も喋らない。だが、もっと要領よく、そうしてもっと早く喋ってくれ。きょうは、いつになく気が短いのでね」
「は、それでは……」
と、主任は、例の追跡談をくわしく語り出したのであった。ついにその自動車は、麻布の崖の上から下に落ちてしまったことや、運転手が、まっ逆さまに落ちる自動車の中から、半身を出して、こっちをにらんだことなどを……。
交通主任の口は、なかなか重くて、話は一向スピードを上げなかった。しかもその話はたいへん詳しいので、話はなかなかおしまいにならないのであった。
だが、さっきまで、自分でいらいらしているんだと叫んでいた大江山課長は、どうしたわけか、別人のように、たいへん熱心に、この話に耳をかたむけているのだった。もっと早く喋れとも、もっと要領よく喋れとも、どっちとも言わなかった。
「……とにかく、不思議なことです。崖下へいって、焼けおちた自動車の車体をひっく
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