》――はて、おかしいぞ。大川端から、投身自殺をはかった年若い婦人があるのを、交番へ知らせるとともに、自分も飛込み、巡査と協力して助けた。いや、これは少年のお手柄だ。千葉県から、杉の苗木を積んで、東京へ売りに来たその帰り道での出来事だった」
「なるほど、それから……」
「それから――人命救助の表彰の候補者として、この少年宮本一太郎を――あっ、やっぱりいけません」
「何だ。早く名前を読めばいいのに」
 これもだめであった。
 その日、少年に関係のある事件三つが、いずれも千二少年には関係のないことがわかって、大江山課長は、がっかりしてしまった。
 佐々刑事は、きまり悪そうな顔をして、同僚のうしろへ、こそこそと姿を消しながら、
「ちぇっ、きょうは、あたまが悪いや。しようがない、すこし遅いが、これからライスカレーを作り直すことにするか」
 佐々刑事は、ライスカレーをうんと食べて、頭をよくしようと考えた。
 その時交通[#「交通」は底本では「交番」]|掛《がかり》の主任が、課長の前へ進み出た。さっきから何が気になるのか、もじもじしている主任であった。
「ええ、課長。これは、あまりたいしたものではあ
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