いった。日比谷公園のそばに、自動車をとめておいて、千二をうまく運転台におしこんで、逃げていったのだった。
そこで、課長は、はじめて頬杖をやめて体を立てなおすと、一同の顔を見まわし、
「どうだ管下において、少年がかどわかされていくのを見た者はないか」
「さあ、そういう報告はどうも……」
「それとも、なにか少年に関係した事件はなかったろうか」
「そうですねえ――」
さすがに、大江山課長は、目のつけどころがちがう。千二少年が、何者かにさらわれたと知ると、すぐさま、捜査の糸口をつまみ出した。
「さあ、今日管下に起った事件の中で、少年に関係があった事件と言いますと、皆で三件あります」
と、佐々刑事が、主任の机の上から帳面を持って来た。
一同は、その帳面の方へ、頭をよせる。
「まず第一は、午前八時、名前のわからない十二、三歳の少年が、電車にはねとばされそうになった小学校一年生の女生徒を、踏切で助けようとして自分がはねとばされ、重傷を負いました。これは小田急沿線登戸附近の出来事です」
「それはちがうね」
と、大江山課長は一言で、首を横に振った。
「は、ちがいますか」
「時間が午前八時では、
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