刺さっているのだった。その爆弾|様《よう》のものは、表面からネオン灯のようなうす桃色の光を放っていたので、その輪郭は、はっきり見えた。
それは一体何ものであろうか。
2 漂《ただよ》う毒気《どっき》
天狗岩《てんぐいわ》に、斜に刺さっている爆弾のような怪しい物!
「あっ、あれは、なんだろう!」
と言ったきり、千二は、まるで石の人形のように、からだが、うごかなくなった。それはあまりに驚きがひどかったからだ。
でも、こわい物を見たいのが人情であった。千二は、ぶるぶるとふるえながらも、目を皿のように大きくして、そのうす桃色に光る爆弾様の巨体をじっと見つめていた。
すると、いた、いた。
その爆弾様のものの上に、なにかしきりに動いているものがあった。それは、俵のような形をしていた。うす桃色の光が、そこのところだけ影になる。つまり俵の影絵を見ているような工合だった。
「な、なんだろう、あれは……」
千二は、鉄管からはい出した。とたんに、なにかの毒気にあたったかのように、胸がむかむかして来た。
「あっ、苦しい」
彼は、また鉄管の中に、はいこんだ。すると、とたんに、気分は
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