わかったはずだ。きさまは、地球の上でわしたちのために、さんざんな目にあったではないか。一つここで心を入れかえ、前の火星女王の遺児であるロロとルルの味方となるつもりはないか。もしお前がそうするつもりがあれば、わしからよく話をしてやろう。それが、きさまの身のためだぞ」
博士は、丸木を、なんとかして、正しいみちへもどしてやりたい考えだった。
また、そうすることによって、博士はロロとルルの二人の王子に、大きな兵力をつけることが出来ると思ったのだった。丸木は地球へ攻めて来たわるいやつだが、しかし彼は、なかなかの武将であった。そのことは博士もよく知っていた。だから丸木に心を入れかえさせると、たいへんロロとルルとは助かる。いや、ほんとうのところを言えば、ロロとルルの力だけでは、とても今の火星王を敵にまわして、これを征服することはむずかしいのだ。
だから、博士は丸木を味方に入れたかったのである。
「えへへん。笑わせるなよ、蟻田博士」
と、丸木は心をあらためるどころか、いよいよたけだけしいようすになって、
「おい、博士。ここを一体、どこと思っているのか。ここは火星の上だぜ。あの地球の上とはちがうぜ」
「それが、どうしたというのか」
「あれっ。まだわからないのか。いいかね。おれは地球へでかけていって、お前などとたたかい、まず五分五分の勝負で引上げた。おれたちは火星人だから、地球の上でたたかっては、たいへん勝手がわるいのだ。それでも五分五分の勝負だった。ところがここは火星の上だ。わかるだろう」
「火星の上だから、きさまは、わしたちに勝てると思っているのか」
「そうだよ。火星人は火星の上でたたかうのには不自由をしない。お前たちはどうか。まず自分のからだを見ろ。そんな不便のものをつけているし、人数は少いし、われわれに勝つ見込はないじゃないか。早く降参した方がいいぞ」
丸木は、いばり散らしている。それを聞いた博士は決心の色を浮かべ、
「よし、まだ目がさめないようじゃから、言葉で言うよりは腕前を見せてやろう」
博士は、丸木を改心させたいとつとめたが、とうとうさじをなげだしてしまった。このうえは、丸木をいたい目にあわせるほかない。
丸木の方は、あいかわらず、いばりくさっている。
「なに、腕前で来いと言うのか。ふん、ここは火星の上じゃ。腕前なら、こっちがつよいことが、わかっている」
丸木はそう言って、手をあげて、あいずをした。
「おい、みんなかかれ」
丸木のあいずで、彼のうしろに、ぎょろぎょろと目をひからせていた火星兵は、にわかに、うごきだした。
「なにをぐずぐずしている。早くかかれと言うのに……」
丸木は部下を、しかりつけた。
火星兵は、かねがねこの蟻田博士の手なみを知っているし、それに地球へいって、人間からひどい目にあっているところだから、少々しりごみをしていたところであった。しかし丸木に、しかりつけられては、もうしりごみをしておられない。
ひゅう、ひゅう、ひゆう、ひゅう。
ぷく、ぷく、ぷく、ぷく。
火星兵は、へんな声をあげて博士たちにせまって来た。
そこで博士は大声でしかりとばした。
「来るか。来るならいつでも、あいてになってやるぞ。おい、新田、千二、ふき矢をふけ」
新田先生と千二は、さっきから、ふき矢をもって、いつ命令がくだるかと待っていたところだから、すぐさま例の酸素かぶとの下にある口にあてて、ぴゅう、ぴゅう、ぴゅうと矢をふきだした。
そのとき、博士が言った。
「丸木は、わしがひき受けた。丸木にはあてないがいいぞ。ほかの火星兵はみんなやっつけてしまえ」
博士はなかなか元気であった。
蟻田隊と丸木隊とのたたかいははじまった。
火星兵は、どこにかくしもっていたか、先の太いこんぼうのようなものを、ほそながい手に、にぎって、蟻田博士たちをめがけて、おしよせて来た。
「おちついて、ふき矢を放て!」
博士は、新田先生と千二少年とを、はげまして言った。
先生と千二とはさっきから、ふき矢を、おしよせる火星兵のむれを目がけて、ふきつけているが、なれないこととて、なかなか思うように、ふき矢があたらない。
「しまった、また、はずれた」
「おい千二君。ふき矢のくだを、あまりかたくにぎっていると、いけないよ。そうして、こういうぐあいに、ふうっとふくといい」
やっぱり先生の方が上手であった。
「なるほど。そうやると、うまくいくんですねえ。僕たちがいつも作って、あそんでいたふき矢とは、やりかたが、ちがうんだな」
千二は先生におしえられ、そのとおりにやってみると、なるほど、ふき矢はぴゅんととんで、林のはしから顔をだしたばかりの火星兵のむなもとに、ぷすりとつきたった。
すると、火星兵はねずみが、ねずみおとしのわなにかかったように、ぴょ
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