たをかくしてしまった。
 こうして、千二は全く、ひとりぼっちになってしまった。
「困ったなあ。火星の上で、まよい子になるなんて、いやなことだなあ」
 地球の上のまよい子ならどうにかなるが、勝手もわからなければ、まるで生まれがちがう火星人国で、まよい子になってしまっては大困りだ。
「先生はどこへいったのかしら。それから博士も見えない」
 千二は途方にくれてしまった。
 これから、どうしようかと考えているところへ、ぱたぱたと足音のようなものを耳にした。
「だれ?」
 千二がうしろをふりかえるのと、火星人の触手のようなものが、彼の腕にくるくるとまきつくのと同時であった。
「あっ」
 千二は、おどろきのあまり立ちすくんだ。
 彼をつかまえたのは、ほかのだれでもない。それは、むぎわら帽子をかぶった丸木だった。
「おい、千二。おれだよ。おれは丸木だ」
「ああ、丸木さんですか」
「久しぶりじゃないか。さっき、お前を見かけたから、ぜひあいたいと思っていた。どうだ、おれと一しょに来ないか。おれはお前のために、この火星国をすっかり案内するよ」
「ええ、案内もしてもらいたいけれど、蟻田博士や新田先生が僕を待っていますから、また、あとにして下さい」
「なにっ。いやだというのか」
 丸木は、千二をとらえて離そうとはしない。
「いやだも何もないよ。ここは火星国だ。おれは、火星兵団長であり、また戦争大臣だ。おとなしくおれの言うことを聞いた方がとくだぞ」
 千二は、はじめちょっとおどろいたけれども、だんだん気がおちついて来た。
「丸木さん。いやだと言っているわけじゃないんです。博士と先生に、ひとこと話をしていきたいと思ったんだが、あなたがそういうのなら、つれていって下さい」
「おおそうか。なかなかよろしい。そう来なくちゃいけないよ。これで、あらたまって言うようでおかしいが、おれは、君が大好きなんだ」
 丸木に好かれるとは、めいわくな話であった。
「丸木さん。僕をどこへつれていってくれるのですか」
「まず、おれの屋敷へいこう」
「あなたの屋敷ですか。何かおもしろいものがありますか」
「おもしろいものならいくらでもある。第一、おれが地球に関するいろいろなものを、どのくらいたくさん、あつめているか、地球博物館というのを見せてやろう」
 千二は、これを聞くと、首をふって、
「ああ、そんなものは、もうたくさ
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