れこそ博士たちの一等よわいところだと、にらんでおどかした。そんなことをいって、博士たちの元気をなくしてしまい、そのすきに、博士にとびかかろうという作戦だった。
「なにをいうか。地球のことをしんぱいするよりも、自分のことをしんぱいしろ。うぬっ」
 博士は、大喝一声、丸木にとびかかった。丸木はおどろいて、ばらばらと逃げだした。博士はそれを追った。
 丸木は森の中ににげこむ。博士はそれをおいかける。
 丸木は火星兵の方へ、にげようと思ったらしいが、そっちには新田先生がさかんに奮戦しているので、これはたいへんだと、方向をかえて、岩がそび立つ海岸の方へにげていった。
 博士はなおもそれをおいかけた。博士はオリンピックの選手もそこのけという風に、大きな幅とびでどんどんおいかけていく。地球の人間がこれを見ていたら、びっくりすることであろう。老人の博士が、若者のように宙を飛んでいくのである。
 しかし、これも火星の上では、重力が小さいから、このように軽快な運動が出来るのであった。老人の博士が、ぴょんぴょんとんでいくところを地球の子供たちに見せたら、ぼくもあのように宙をとんでみたいと、さぞ火星へいきたがることであろう。
「おい、丸木、まて」
 博士はうしろからさけぶ。
「まっていられるか。くやしかったら、ここまで来い」
 と、丸木は博士をからかう。丸木はどうやら何かたくらみを考えついたらしいのであった。
「にげると、きさまもふき矢をはなって、ねむらしてしまうぞ」
「そんなものが、おれにあたってたまるか」
 丸木は岩の上を、りすのようにしきりにとんで、少しもじっとしていなかった。博士は、これではとてもあたるまいと思ったのか、それとも、はじめからふき矢をはなたないつもりだったのか、ただそのまま岩の上をつたって丸木をおいかけた。
 丸木は、いよいよとんだりはねたりしながら、とおくへにげていったが、そのうちに、どこへいったか、すがたが見えなくなった。
「はて、丸木め。どこへ、はいってしまったのか」
 と、蟻田博士は言いながら腰をたたいた。
 こっちは、千二少年であった。
 いつの間にか、ひとりぼっちになってしまった。
 前面の森の入口には、十数名の火星兵がこっちをにらんでいたが、それも千二のもっているふき矢におそれをなしたものか、いつとはなしに、かずがへって、やがて一人残らず、どこかへ、すが
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