のは、なかなか落ちて来ないのであろう。すると地球の上では、つまらないふき矢も、ここでは強い兵器だ。
ふき矢問答はつづく。
「博士、ふき矢が火星の上では、なかなかつよい兵器だということは、わかりました。しかし、どうして、このふき矢を使えばいいのでしょうか」
と、千二は、ふしぎそうに言った。
「なんでもない。口でぷうとふけばいいのさ。お前たち、とくいのふき矢ではないか」
千二は、そこが問題だという顔で、
「だって、博士。こんな酸素かぶとを、かぶっていたんでは、ふき矢を口にあてようとしても、あてられないではありませんか」
博士は、なるほどとうなずき、
「ああ、そのことかね。それは、しんぱいなしさ。かぶったままでも、らくにふけるのだよ。かぶとの中に、口のあたるところがある。そこへ口をつけるのさ。それから、ふき矢の口は、かぶとの外に穴がある。ほら、ここのところだ。口よりすこし下のところに、へそみたいなものがあるだろう。この穴にあてればいい。そうして、口で、ぷうとふけば、ふき矢は、ちゃんとあたりまえに、とんでいくのだ。わけなしのことだよ」
「ああ、そうですか。なるほど、この穴ですね」
と、千二は、かぶとの下についている、へそのような穴に、さわってみた。
「しかし、博士。こんなところに、穴があいていると、かぶとの中の酸素が、みんな外にもれてしまいませんか。また、外から、火星の空気がはいって来ませんか」
「それは大丈夫だ。人間の心臓に、べん[#「べん」に傍点]というものがついている。そのべん[#「べん」に傍点]は、一方からは通るけれども、その反対の方向からは、通らないのだ。これをべん[#「べん」に傍点]といって、心臓だけではなく、世の中にある機械にも、べん[#「べん」に傍点]のはたらきをするものが、よくつかわれている。このかぶとの中につけてあるのは、つよい特殊ゴムでできたべん[#「べん」に傍点]である。だから、お前のいうしんぱいはないよ」
と、博士は、べんのしかけを説いた。
67[#「67」は縦中横] 出陣
「カリン岬が見えました」
と、ロロ公爵が、博士のところへ知らせて来た。
「もう見えますか。おい、新田、操縦室へ来い」
「はい」
千二も、あとからついていった。
「そこにあるハンドルを、しっかりにぎっておれ」
「はい、これですね」
「そうだ。わしが命
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