ばならないぞ」
 先生は、そう言って、いたましい顔をした。
「どうしたのですか。くわしく、話をして下さい」
 千二には、わけがわからなかった。とにかく千二は、ふとんを開いて下へおりた。
「いいか、千二君。おどろいてはいけない。この大空艇には、いつの間にか火星兵団のやつが、しのびこんでいたのだ。しかも、二人だ」
「えっ。火星兵団のやつばらが、ここにいるのですか」
「そうだ。しかも、その二人は、博士を両方からかこんでいる。博士は、なれなれしく、二人と話をしている。何を言っているのか、話はあついガラスにへだてられて、わからないがね。とにかく、博士は、火星兵団のやつと、一しょに組んでいるらしい。いや、それにちがいない」
「そうですか。博士は、また、気がかわったのかしら」
「われわれを、控室へひきとらせたのも、われわれが、操縦室にいては、都合がわるいからだ。もう、こうなれば、かくごをきめて、たたかうだけたたかって、たおれるばかりだ」
「そうかなあ。博士は、なぜそんなに、急に気がかわったんだろうなあ」
 と、千二は、いつまでも小首をかしげている。
「千二君。君は博士の変心が、信じられないらしいね。では、あそこまで来て、あの部屋をのぞいてごらん。すると、それがわかるから……」
「じゃあ、火星兵と博士が話をしているのが見えるところまで、つれていってください」
 と、千二は、先生に言った。
「よろしい。しずかに、足音をしのばせて、こっちへ来たまえ」
 先生は、せまい廊下を、先に立った。
 まったく、困ったことだ。この大空艇に、火星兵がのりこんでいるなんて。
 これが、地上でおこったことなら、博士と火星兵とをそこへのこして、一時にげだす手もあったが、このように、空中での出来ごとである。しかも、空中といっても、あたり前の空中ではない。このあたりは、もう空気がない空間である。外へにげだすことは出来ない。空気がないから、死んでしまうだろう。それに、第一、代りのロケットも、なんにもないのである。
 千二は、先生のあとから、ついていった。そうして足音をしのばせつつ、ようやく操縦室の次の部屋まで来た。
 先生は、扉の上についている小さいのぞき窓のふたを、そっと、よこにうごかした。
「ほら、まだ、三人とも、話に夢中だ。さあ、ここから、のぞいてみたまえ」
 千二の背のたかさでは、その窓が、すこし高すぎ
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