は? と相談所長にうかがいを立てると、
「それはいい方法があります。しかし、決して、ほかの人に洩らしてはいけませんよ。つまり鉱山――銅や石炭やそういう鉱物の出る山の坑道の、奥深く逃げこんでいるのです」
「鉱山の坑道にはいっておれば、かならず助かりますでしょうか」
 と、客はふに落ちない顔である。
「そりゃもう、たしかにうまく行きますよ」
 と、モロー彗星対策延寿相談所長は、大きくうなずいた。
「モロー彗星が、地球に衝突した時を考えてごらんなさい。地上なんかにおられやしませんよ。彗星が衝突したとたんに、地上は、一せいに火事になってしまいますよ。とても熱くて、おられるものではありません。おまけに彗星は地球をこわして行きますよ。ビルヂングであろうが、岡であろうが、山であろうが、ぶっかいて行きますよ。その時人間が地上におれば、一しょに持って行かれますよ。だから、今お教えしたように、坑道の底におれば、助かるわけです。つまり地球が一皮むけたくらいでは、坑道の底におれば、まず大丈夫ですからね。どうです、たしかな方法でしょう」
 と、相談所長はとくいである。
「なるほど、なるほど」と、客は感心してうなずいたが、
「しかし所長さん、地球が粉々にこわれるだろうという話ですが、その時は、坑道の底にいても地表にいても、やられることは同じことでしょう」
「いや、同じではありません。地表にいる人間がやられる時、坑道の底にいる人間は、まだ生きています」
「しかし、遅かれ早かれ、坑道の底にいても、やられるではありませんか」
「それは仕方がありませんよ。少しでも、いのちが長くのびれば、それでいいとしなければならんですぞ。まず五、六分は長くのびます。あまりよくばりなさるな」
 客は、あっけにとられた。百円は、ただどりをされたようなものだ。
 また別の相談所では、海中へ逃げる方法を売っていた。それは……。
「海へ逃げこむのが一ばんよろしゅうございますよ」
 と、別の相談所長は言うのであった。
「つまり、陸は安心がならないのです。陸はモロー彗星につきあたられると粉々に飛散ってしまうし、地上は、大地震の起ったように大ゆれにゆれるから、人間はつぶされてしまいますよ。そこへいくと、海の中にはいっておれば、ずっと安全ですな。どうです、おわかりかな」
 その相談所長は、そう言って鼻をうごめかすのであった。
「どうも
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