星人だって?」
 新田先生は、どうしても信じられないと言う顔で、地底の怪物に問返した。
「ほっ、ほっ、ほっ。まあ文化の低い地球人類には、そのわけがわからないのも無理ではないがね。ほっ、ほっ、ほっ」
 怪物は、檻の中で、からだを奇妙にくねらせて笑うのであった。それは、まるで川岸に生えている蘆《あし》が、風にゆれるようなかっこうであった。
「そのわけを話したまえ。でないと、私は君たちを助けるのを、やめてしまうかも知れないよ」
 と、先生は、わざと怪物をおどした。
「ま、待ってくれ。あなたでも蟻田博士でも、地球人類はすぐに怒り出すから嫌さ」
 と、怪物はぶつぶつ言って、
「じゃあ、そのわけを言うがね。たいしたことではないのだ。さっきも言ったように、私たちが、地球の上でちゃんと生きているのは、この檻の内側に、目には見えないが蟻田博士の発明した減圧幕を張ってあるためだ。ところが、火星兵団の連中は、こんな便利な減圧幕のあることを知らないために、あの大げさな入れ物の中に、はいっているのだ」
「入れ物?」
「そうだ。入れ物だよ。入れ物というのは、ほら、さっきあなたが言ったではないか。たいへんかたい胴! ドラム缶のような胴! あれがその入れ物なんだよ」
「火星人がはいっている入れ物? あのいかめしい胴中《どうなか》に火星人がはいっているのかね。地球の空気があんまり濃すぎるので、あの胴のような入れ物の中に、火星人がはいっているのかね。ほんとうかね。いや、ほんとうらしい。ふうん、それは驚いた。へええっ」
 新田先生は、驚きをかくそうともせず、しきりにため息をついた。
「ふうん、そうか、火星人の体に、そんな秘密があるとは気がつかなかった」
 と、新田先生は、地底にうごめく火星人の話を聞いて、感心のあまりひざを打った。
 そういうことが、ほんとうだとすると、いろいろなことがわかる。小学生たちが生けどった火星人がおしまいに胴中一つになってころげ廻るうち、折から行進して来た戦車にぶつかって、胴中が粉みじんに割れ、その時、中からゴムでこしらえたたこのようなものがころがり出て来たところを、大きな犬がくわえて行った謎のような事件があったが、今、火星人の話を聞いて、あの不思議な謎も、たちまちに、解けてしまう。つまり、火星人を、地球の濃い空気の圧力からまもっていた胴がこわれ、その中にいた火星人は、たちまち
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