火星人は、地球の人間のことを、前からくわしく研究して知っていたけれど、人間の方では、火星人の研究をしているものが、ほとんどいなかったのであるから、仕方がないであろう。
だが、ついに火星人の体の秘密が、すっかりわかる日がやって来たのである。実にすばらしいことだ!
それは、一体誰が答えを出したのであろうか。それが、誰であったかをここで言ってしまうよりも、私は、その後の新田先生の一生懸命な働きについて、お話をするのがいいだろうと思う。
新田先生が、火星人の変話機という機械をみやげに、東京へもどって来たことは、前に言った。そうして先生は大江山課長などに、火星人が人間狩をはじめるから、用心するようにと知らせた。そうして先生は、火星人からうばって来た変話機を用いて、しばしば思いがけない手柄を立てたのであった。何しろ火星人が、何かものを言うと、その意味がすぐさまこっちにわかるので、火星人はよく不意をうたれて追っぱらわれるようなことがあった。
だが、火星人は、いつも大江山課長を隊長とする警察隊のために、追っぱらわれるだけで、ついぞつかまったことはない。何しろあの強力な火星人のことであるから、人間があたりまえに向かったのではとても相手にならないが、変話機のおかげで、東京における火星人の人間狩の計画は、夜のふけるにつれて、めちゃめちゃになってしまった。
警視総監は、別に命令を出して、火星のボートがたくさん着陸している山梨県の山奥へも、討伐隊を向けたのであった。ところが、この方は大失敗に終った。数百名からの、警官隊は、火星兵団のため見事にやっつけられてしまったのである。
「とても、警官隊ではだめです。兵隊さんに出かけてもらわなくては、とても勝味がありません」
と、心細い報告が大江山課長のもとへ、届いたのであった。
「ふうん、残念だ」
と、課長はその報告文を手にして歯を食いしばった。
新田先生はそのそばにいたものだから、悲しむべき警官隊の敗退を、すぐ知ることが出来た。
「ねえ、大江山さん、失礼ながら警官隊だけでは、火星兵団はどうにもなりませんよ。軍隊を向けるにしても、重砲か重爆撃機を持っていかなくては、とても攻略は出来ないでしょう」
と、自分の思うところを述べた。
課長はだまってうなずいた。
「だが、軍隊を出すということは、そうかんたんにいかないのだ。総監はどんな目にあ
前へ
次へ
全318ページ中174ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング