うん、そうらしい。黒い長マントを着ている。橋の上にも知らせてやれ」
「しいっ! 騒いじゃだめじゃないか。火星人にさとられると、だめになっちゃうじゃないか」
下の組は、橋の上へ石をほうり上げて、火星人の近づいたことを知らせた。上の組でもあやしい影が近づくのを、さっきから気づいていたのだった。
それを知ってか知らないでか、火星人はしきりにあたりに人間がいないかと注意をしながら、ゆったりゆったり歩いて来る。そこを、待っていた小学生が、それというので上下からわなの綱を引いた。
小学生と火星人との戦いだ。
火星人は、大変あわてている様子である。何しろ、足の方を太い綱で作ったわなにしめつけられて走れないで困っているのに、陸橋の上からは、また別のわなが落ちて来て、火星人の胴中《どうなか》を、ぎゅっとしめつけているのだから……。
「ほら、もっと引け!」
「もっと引くんだ。火星人を生けどったよ」
「わあい、火星人の宙づりだ」
上と下との十人組が、火星人を互にひっぱり合うものだから、かわいそうに、火星人は、陸橋の下に宙ぶらりんになってしまって、まるでくもの巣に、蝶々がひっかかったような有様となっていた。
ひゅう、ひゅう、ひゅう。
ぷく、ぷく、ぷく、ぷく。
火星人のつれが二人いた。
この二人は、仲間を助けたいと思って、何とかしようと手を出すのであるが、上の火星人があばれるのでどうにもならない。
その中に、宙づりになっていた火星人の足が、つけ根のところからぽろりと落ちた。
「あっ、足がぬけたぞ」
陸橋の上の小学生は、一生懸命に力を入れてひっぱっていたので、宙づりの火星人の足がぬけたと同時に、力があまって、どうんと後へ尻餅をついた。しかし、彼らは大事の綱だけは、手からはなさなかった。
綱は、ぴんとはりきった。
綱の先のわなは、足のない火星人の胴から上に動いて、首にひっかかった。ところが、あいにく、そこに橋桁があったものだから、火星人の首は、その下にはさまってしまった。小学生たちは、そんなこととは知らないで、とび起きると、力をあわせて、また綱をううんと引いたので、とたんに、火星人の首がぽろりともげ、胴だけが下に落ちてころげはじめた。
火星人の足がもげ、首がもげ、そうして、もちろん帽子もマントも、どこかへ飛んでしまい、まるでドラム缶のような形をした火星人の胴だけが、こ
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