人間の足を、こういう工合にかついで、例の人間箱の中に入れてしまうのだ。いいかね。……それが出来れば、後は、出来るだけ気を落ちつけて、その人間箱を自分のそばにならべて、ゆっくりゆっくり歩いて行くのだ。その時そわそわしていようものなら、人間箱をつきたおして、せっかくの獲物《えもの》が人間に気づかれてしまったり、また、お巡りさんや刑事に怪しまれて、かえってこっちがとりおさえられるから、出来るだけ用心をするんだぞ」
新田先生は、これを聞いていて、ますます驚いた。丸木たちは、こんな手で、人間を五百人もさらって行くつもりなのである。
「隊長!」
と、火星人の一人が、違った声を出して丸木に呼びかけた。
「何用か、三八九」
「ねえ隊長、わしは、どうも人間というものが恐しくてならんのです。ほかの役にかえてくれませんか。たとえば、草とか木とかを集める方へ廻して下さい」
「だめだ、だめだ。われわれは、はじめから一等むずかしい役をすることにきまっているのだ。むずかしい役をやるのだから、われわれは火星兵団の中でも、特別にごほうびをもらっているのだ。姿だって、人間そっくりの道具をもらっているではないか」
怪人丸木と、その部下の火星人とのあいだに、とんでもない話がつづいている。それは、地球の人間を捕えることについてである。
これを聞いていた新田先生は、顔色をかえた。丸木は、この前、
(地球がこわれる前に、君たち地球の人間を出来るだけたくさん、すくってあげたいと思っているのだ)
と言ったが、その当時、丸木たちの親切に、お礼を言ったものだ。ところが、今聞いておれば、丸木は、
(人間を集めるのだ。人間を捕えるのだ!)
と、部下に話をしているのであった。丸木たちは、人間を捕虜にして、火星へつれて行くつもりらしい。
「けしからん。地球人類が、火星人の捕虜なんかになってたまるものか」
と、新田先生は、ものかげでひとり歯をくいしばった。しかし、そうは言うものの、地球のこわれる日はもう目の前にせまっている。その上、この洞穴《ほらあな》で見ていてもよくわかるように、智慧にかけては人間よりも火星人の方がずっと進んでいるようだ。たとえば、火星人の持っている火星のボートだって、じつにすばらしいものである。人間の力では、とてもあのようなものをつくることは出来ない。だから、まともにたたかえば、これはどうしても
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