に火星のボート群が、かなりたくさん、このへん一帯に着陸するだろうよ。火星人はいよいよその数を増して来るんだ」
「えっ、そうですか。それはどうも話が、早すぎますね。さっき私は、ぜひこの山中一帯をゆずってくれと、丸木に責められたんです。もちろん私が、うんと言わないので、丸木はおこっていました。その時の丸木は、まさか佐々さんじゃなかったでしょうね」
「違うよ違うよ。あれは本物の丸木だ。わしはかげのところから、そっと隙見をしていて、知っているよ」
 と、佐々はにが笑いをして、
「そこで先生。わしは、いよいよ思いきったことをやるつもりだよ」
 怪人丸木に変装した佐々刑事が、すこぶる、はりきっているのは、たのもしいことであった。とりこになっている新田先生も、佐々の話を聞いていると、自然に勇気が出て来るような気がした。
「ねえ、佐々さん、私は一つ、大変心配していることがあるんだが……」
「心配ごとって、それは何だね。早く言いたまえ」
「それは外でもない、千二少年の行方のことなんですがね」
「ああ、千二のことか」
「どうです、佐々さん。千二少年は、丸木につれられて行ったんだが、ここで見かけなかったでしょうか」
 先生はどこまでも教え子の千二のことを、心配しているのだった。これも先生なればこそで、まことにありがたいことであった。
 佐々刑事は、首を左右に振って、
「見かけなかったねえ」
「いないのでしょうか。一体、千二少年はどうしたんだろうな」
 先生の目は、憂いに曇った。
「千二の行方も捜さなければならんが」と佐々刑事は言って、
「わしが課長から命ぜられていて、まだ果してないのは、蟻田博士が去年の大地震以来、どうなったということだ。君はその後、蟻田博士と会ったことがあるかね」
「いや、どういたしまして……」
 と、新田先生は首を振って、
「何しろ私はあの大地震以来、つい先ごろまで、病院のベッドに寝ていたんですからねえ」
「ふん、なるほど。考えてみればあの大地震というやつが、我々の仕事をどのくらい邪魔したか知れない。いや、こんなぐちを、今言ってみても仕方がないがね。まあいいや。どんな災難であろうと、困ったことであろうと、もうおどろくものか」
 佐々刑事は、立上った。
 丸木の顔に似せた面をかぶり、黒い眼鏡をかけると、全く丸木そっくりに見える。
「もう、行くんですか」
 と、新田先生は
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