使わせてもらいたいのです」
 と、何でもないことを、おずおずと申し出た。どうも、丸木の話しぶりがへんだ。


   31[#「31」は縦中横] 火星人


 たいへんな相談をかけられたものである。地球人類を救ってやるから、この山梨県の山中一帯を、火星人にゆずれと言うのだ。
 新田先生は、そんな相談をかけられても、返事をすることは出来ない。先生は、この山梨県の地主でも何でもないのだから。
「そんな相談を受けても、私にはとりきめる力がありませんよ」
 先生は、正直に怪人丸木に返事をした。
 すると丸木は、むっとしたようであった。
「なぜ、とりきめが出来ないのかね」
 丸木は、時々らんぼうな口のききかたをする。
「私は、そんなことに力のない一国民ですからねえ」
「そんなことはない」
 と、丸木は強く言いきった。
「我々は、君を人間の代表として、相談をしているのだ。力があるもないも、もう一箇月もすれば、地球の人類は、誰も彼も、なくなってしまうではないか。君は人間だろう。人間なら、人間として、りっぱに我々に返事が出来るはずだ」
 どうもよく、丸木の言っていることが、のみこめないが、火星人は、人間界のことなら、どの人間に相談してもいいのだと、思っているらしかった。
 先生は、はからずも人間の代表に選ばれて、むしろ、たいへんめいわくだった。
 どうしたものかと、なやみながら、ふと前を見ると、怪人丸木のまわりには、いつの間にか例のドラム缶に、細い手足をはやしたような火星人が、たくさん集って来て、しきりにこっちを見ている。
 先生は、その時、火星人が、まん中に妙な機械を抱えこんでいるのを見つけて、あれは一体何であろうかと、不思議に思った。それは、ラジオの機械の上に、うちわを立てたような機械だった。先生がこっちから何か言うと、丸木以外の火星人は、その機械の方に、ねっしんに顔をよせる。
「どうしても、そんな相談に、約束は出来ません」
 先生は、きっぱり言った。
「まだ君は、そんなことを言うのか」
 怪人丸木は、いよいよきげんを悪くした。
 すると、他の大勢の火星人も、とつぜん奇妙な声を立てて、騒ぎ出した。
 その時先生は、その大勢の火星人が、大事そうに抱いているへんな機械が、ひょっとすると、人間の話を、火星人にわかるように直す変話機ではないかと、気がついた。
 その時先生は、とつぜん火星
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