て、それを自分のつごうのいい方へとった。
「お困りの様子だが、まったくお気のどくに思う。皆さん方は、永久に地球の人類が栄えるものと思っていられたのであろうが、モロー彗星というやつが、それを正面から、じゃまをするんですからね。もっとも、モロー彗星は、意地わるをたくらんで、じゃまをするわけではなく、不幸にも、モロー彗星の進む道が、地球の道とちょうど合うことになっているんですから、これはどうも仕方のないことですよ。その点は、先生にもよくおわかりでしょうね」
「それは、よくわかっています」
「それならよろしい。来るべきこの大事件は、地球の人類にとって最大の不幸である。しかしそれは同時に、モロー彗星にとってもまた不幸な出来事である。そうでしょうが」
先生は、うなずいた。今まで、考えなかったが、モロー彗星にとっても不幸であるに違いない。しかしモロー彗星の上には、この地球みたいに、生物が住んではいないだろうから、いくら不幸だと言っても、我々の不幸にくらべると、くらべものにならないと思った。
「わしはずっと前から、この不幸な事件について、モロー彗星にも、また地球の人類にも同情をしていた。そうして、何とかして外力を用いて、一方の軌道をすこし外してみる方法はないものかと、研究をしたこともあった」
丸木がとつぜん、けなげなことを言出したので、先生はおどろいた。
「だが、そいつは、なかなかむずかしいことだ。ちょっと我々の手におえないことです。だから、この上は、せめて皆さんがた地球の人類の命を、一人でも多く救ってあげたいと、思うようになったのです」
怪人丸木は、親切そうなことを言出した。
「それは、御親切さまに……」
と、新田先生は怪人丸木にお礼を言った。
ほんとうに親切なのだか何だかわからないが、とにかく丸木は、熱心を面にあらわして、地球の人類をモロー彗星の衝突で死ぬことから、助けてやろうというので、これには、挨拶としてお礼を言わないわけにいかない。
「で、あなたは一体、我々人類を、どうやって助けて下さるのですか」
「そのこと、そのことです」
と、怪人丸木は両足で地面をとんとんと踏鳴らしながら、
「ねえ、先生。わしは、火星に持っている宇宙艇を、たくさん地球へよこそうと思うのです」
「宇宙艇と言うと……」
「つまり、さっき先生は、外で見られたろうと思うが、山の頂《いただき》に火星
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