しょに振り廻されていた。
 河合少年は、部屋の隅へはねとばされ、器械の枠《わく》の間に狭まれてしまった。そのうちに頭が下になり、足が上になったので、その枠から外《はず》れそうになった。彼はおどろいて枠にすがりついた。それから智恵をしぼって、手に挾まったロープで自分の身体を枠にしばりつけた。
 ほっと一息ついて、皆の様子をうかがうと、あっちでもこっちでもものすごい怒号《どごう》と叫喚《きょうかん》ばかり。それでいて人影は一向はっきりせず、その代りに、しゅっと青い火花が閃《ひらめ》いたり、塵塊らしいものが真赤になって室内を南京花火のように走り廻ったりするのが見え、彼の胆《きも》をそのたびに奪った。
 彼は、仲間の三少年がどうしているだろうかと心配した。誰も声をかけて彼を尋ねてきてくれないところを見ると、皆死んでしまったのではなかろうか。いや、彼さえこの器械の枠の間から動くことができないんだから、彼の友だちもそれぞれどこかへつかまって、ふるえているのではなかろうか。とにかく何とかしてデニー博士以下われらの生命を助けたまえと、ふだんは我慢づよい河合も遂《つい》に神の御名《みな》を唱《とな》えた
前へ 次へ
全163ページ中99ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング