ロケットだそうである。
しかもその塔は、ロケット塔であって、現に今こうして天空を飛びつつある。たいへんな場所へもぐりこんだものだ。これから僕たちはどうなるのかと、四少年の胸の中に不安な塊が出来る。
「君たちはずっと前から僕たちが火星探険協会の者だと感づいていたんだろう」
「いいえ。そんなことないです」
「そうかね。それにしては、皆なかなか落着いているじゃないか」とマートン技師は四人の少年の顔を見わたし「ほらこの前君たちがR瓦斯を吸って人事不省になったね。あの出来事によって、君たちは感づいたろうと思ったがね」
「ああ、R瓦斯。あの実験は、やっぱり火星探険に関係があるのですか」
「そうとも、大いに関係があるんだ。あのときいろいろな動物を、原っぱにつくった檻の中に収容しておいて、R瓦斯にさらしたのだ。その結果、ほとんどすべての動物が、あの瓦斯を吸って死んでしまったよ」
「僕たち人間でも昏倒《こんとう》するぐらいですものねえ」
「そうだ。しかしその中で、割合平気でいたものがある。それは鰐《わに》と蜥蜴《とかげ》と蛙《かえる》だ」
「爬蟲《はちゅう》類と両棲《りょうせい》類ですね」
「うん、も
前へ
次へ
全163ページ中65ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング