動車にしがみついて、スピードを出していた。そしてやたらに後のエキゾーストから煙をはきだすのであった。
「あっ、危い。曲道《まがりみち》になっているのに、まっすぐ走らせているよ。ああっ、崖を超えた……」
崖下からは、白い煙がもうもうとあがってきた。しかし張もネッドも崖の上へは這《は》いあがってこなかった。こっちの二人は、早く仲間を助けてやろうというのでがたがた自動車のエンジンのバルブを全開にして、その椿事《ちんじ》の現場へ急がせた。
そのとき山木が、だしぬけに叫んだ。
「ああ、そうか。張の占いがちゃんとあたったんだ。僕たちが二日以内に出会うはずの苦労というのは、このことだぜ」
「とんでもない目にあうものだ」
河合が舌うちした。
厄介《やっかい》な怪我人《けがにん》
山木と河合の二少年は、箱車を曲《まがり》道のところでとめると、いそいで運転台からとびおりた。そして息せききって、さっき競技用自動車の落ちていった崖下をのぞきこんだ。
「うわあ、たいへんだ。二人とも死んでいるぞ」
「あ、このままじゃあ、二人の死骸も焼けてしまうぞ、早く下りていって、火を消しとめよう」
「たい
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