た。
 火星人たちの送って来る風が一段と烈しさを加えた。
 だが、宇宙艇はびくともしなかった。しかしエフ瓦斯は噴出孔を出るなり吹きとばされて役に立たない。
 と、風がぴたりと停った。火星人たちは一せいに棍棒を下ろしたのだ。
 やれ助かったかと思う折しも、こんどは大きい青い岩のようなものが、彼らの中からとび出して、宇宙艇の方へどんどん投げつけられ始めた。
「やっ、手榴弾《てりゅうだん》か、爆弾か」
 こっちの乗組員は、顔色をかえたが、それはそういう爆発物ではないらしく、炸裂音《さくれつおん》は聞えず、ただどすんどすんというにぶい小震動が感じられたばかりであった。しかしそれは次第に数を増し、何百何千と艇の上に落ちて来た。
「瓦斯の噴気孔がふさがれました」
 困った報告が来た。
「なに、すると瓦斯は出なくなったのか」
「そうです。孔をふさがれちゃ、もうどうもなりません」
 その頃、火星人たちは、また上機嫌になって笑っているように見受けられた。
「仕方がない。あとは出来るだけ永く、彼らを艇内に入れないようにするしかない。全員、空気服をつけろ。いつ艇が破れて、空気が稀薄になるか分らないからね」

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