という気だろうか)
櫓と棍棒とおびただしい火星人の群!
さっきはエフ瓦斯をくらって総退却した彼らだったが、こんどはそれに対抗する手段を考えて向ってきたものに違いない。
艇内には、非常配置につけの号令が出、デニー博士はまたもや指揮台の上に立って、テレビ見張器に食い入るような視線を投げつけている。
と、火星人たちが、手にしていた棍棒みたいなものを一せいに高くさしあげた。
するとふしぎにも、風がぴゅうぴゅう吹きだした。沙漠の砂塵が、舞いあがった。と、宇宙艇を包んでいたエフ瓦斯の幕が吹きとばされて見る見るうちに淡《あわ》くなっていった。
火星人たちは、どっと笑ったようである。櫓の上に乗っている火星人たちは、さかんに棒をぐるぐる頭の上でふりまわした。風は烈しさを増し、宇宙艇は荒天の中の小星のようにゆさゆさ揺れはじめた。
「これはえらいことになったぞ」
乗組員たちは、転がるまいとして、一所けんめい傍にあるものに取付いた。
「重力装置を働かせよ」
デニー博士が号令をかけた。
ぷうんと呻《うな》って、重力装置は働きだした。宇宙艇はぴったりと大地に吸いついた。だからもう微動もしなくなっ
前へ
次へ
全163ページ中129ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング