》くマートンの右手があがった。と博士の肩がぶるぶると慄《ふる》えた。
「重力中和機の全部。スイッチ入れろ」
「よいしょッ」
と、ぐぐぐぐッと地鳴りのような響がして、けたたましく警鈴《ベル》が鳴りだした。
「ああッ」
「うーむ……」
エンジン室の全員が、電気に引懸ったように呻《うな》った。そして誰もが、死の苦悶のような表情で、目を閉じ、歯を喰いしばった。
ネッドは、油の海へいやというほど顔をおしつけられた。張は配電盤へおしつけられ、服のお尻のところへ火花がぱちぱち飛んだ。河合はマートン技師の股ぐらへ首をつっこんでしまった。山木は、後へ急に引かれて、鋼鉄の梁に宙ぶらりんとなった。
時間にして四十秒の短い間だったが、人々はそれを百年のように永く感じた。その間人々の息は停り、心臓さえ、はたと停ってしまったように思った。
「うまく行ったぞ。重力は減った。墜落の速度は落ちた。た、た、助かるぞ、これなら……」
最初に声を出したのは、艇長デニー博士であった。博士の最後的努力が遂に効を奏したのだった。
嵐が急にやんだように、狂瀾怒濤《きょうらんどとう》が一時に鳴りを鎮めたように、乗組員たちの
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