についての認識不足から起ったことでありました。しかしその思い違いが正《ただ》されると、超短波はまた一つの仕事を受け持つようになりました。それは電気メスです。超短波電流をナイフ様《よう》の尖《とが》った金属片《きんぞくへん》に通じ、これを肉に近づけると、面白いほど切れます。それはどれほどよく磨《と》いだメスよりも軍刀《ぐんとう》よりも切れ味がよいのです。科学が臍を曲げると妙なことになります。
 臍で思い出しましたが、臍に縁《えん》のある雷《かみなり》さまの話ですが、あれを避けるのに避雷針《ひらいしん》というものがあります。避雷針は屋根の上に尖った金属棒を立て、その下に銅線を接《つな》ぎ、下に下ろし、その尖端を地中に埋めます。銅線の尖端には大きな銅板をつけると一層効果があります。雷が上空から来ると、針の鋭い電気|吸引力《きゅういんりょく》で、雷が忽《たちま》ち吸いよせられ、この針の上に落ちますが、落ちると同時に電線を伝わって地中へ潜《もぐ》りこみ、勢《いきおい》を失ってしまいます。これは云うまでもなく雷の正体は電気ですから、針に引っかかったと同時に、導電体《どうでんたい》を伝わって地中へ潜
前へ 次へ
全12ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング