い》に通しますと、癌《がん》などに大変|効《き》き目のあることが発見されました。これをラジオテルミーと呼んでいますが、デアテルミーよりもずっと効き目が強いのです。この施術《しじゅつ》の方法は、超短波が盛んに通っている二つの電極《でんきょく》の間に、人体の患部《かんぶ》を入れるのです。電極というのは金属板で出来ていまして盆《ぼん》のように丸い平べったい板です。
ところが或る時、研究室で飛んでもないことが起りました。超短波を盛んに起して置いて、実験者がそれに手を近づけましたのですが、本当は先ず手を先に電極板の間に入れて置いて、あとでスイッチを入れて超短波を起す方がよいのです。このときはつまり逆の順序でやりました。実験者は研究中のことですから、いろいろやって見る必要があります。そうしないとよい装置も出来ないし、性質も深く知ることが出来ません。実験者はその手を電極板の中央に入れる代りに、電極板の端の方に近づけてみました。恐《おそ》らく違った結果が現れるだろうと思ったのです。近づけるに従って、指の股の辺がスースーと涼しくなりました。それを尚《なお》も近づけると、指が急に熱くなり始めました。それ
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