し少佐の好意にあまえていいのだろうか。
「心配しなくてもいい。ぼくが家をつくり、君に番をしてもらうんだから」
「ほんとにヘーイさんは三階に住むんですか」
「ベッドを一つおきたいね」
「それは、いいですけれど、全部でたった一坪ですよ。ヘーイさんのそんな長いからだが、のるようなベッドがおけるかしら」
「心配しないでいいよ、君は……」
一坪館《ひとつぼかん》開店
すばらしい四角な塔のような建物がたった。
近所の人たちはおどろいた。なにしろ自分たちの家は平家が多く、たまに天井の低い二階家があるくらいだった。
ところが源一の新築した建物は、雲にそびえているようにみえるほど高かった。地上から三階建であるが、各階ともに天井が高くとってあるのですばらしく高い。したがって外から見ると、どうしても塔に見える。その塔は近所の家をすっかり見下ろしている。いや、銀座界隈《ぎんざかいわい》を見下ろしているといった方がいいだろう。
全体はクリーム色にあかるく仕上げられた。屋根には緑色の瓦《かわら》がおかれた。
銀座を通る人々は、誰もみんな、この新しい塔の建物に目をむけた。
屋根に近いところ
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