_______
749)6CDEF7
5992
―――――
K9LM
N74P
―――――
2247
2247
――――
0
[#ここで罫囲み終わり]
ここまでは進んだが(第十図)――あとはどうもうまく決らない。帆村は苦しそうに呻《うな》りながら寝返りをうった。
「どうして解けないのだろうか。おれの頭はばかになったのか」
帆村は拳をかためると、自分の頭をガンとなぐった。
「駄目だ。解けない」
帆村は算術地獄におちこんだと思った。さもなければ、頭脳が麻痺《まひ》してしまったのだ。ここまで解きながら、答が出ないとは何としたことであろう。はるばる富山まで来て、交番の奥の間に呻吟《しんぎん》している自分が世界中で一番哀れなものに思われた。どうにでもなれ!
そのうちに酒が身体に廻ってきた。疲労の果《はて》か酒のせいか、彼はうとうとと睡りはじめた。
謎は解けた
ぱっと目がさめたとき、彼は急に気分のよくなっていることに気がついた。
彼は再びノートをとりあげた。
暫くノートの表を凝視《ぎょうし》していた彼は、思わず、
「うむ」
と、呻って目をみはった。
彼は畳の上をとんとんと激しく叩《たた》いた。
隣室に待っていた栗山刑事が、とぶようにして入ってきた。
「帆村さん、どうしました」
「おお、栗山さん。今日東京へ飛ぶ旅客機に間にあいませんか」
「えっ、旅客機ですか、こうっと、あれは午後一時四十分ですから、あと四十分のちです。それをどうするんです」
「僕は大至急東京へ帰らねばなりません」
「そんな身体で、大丈夫ですか」
「いや、大丈夫。謎が解けそうです。すぐ帰らねばなりません。どうか飛行場へ連れていって下さい」
親切な栗山刑事は、帆村の身体を抱えるようにして旅客機の中へおくりこんだ。
午後一時四十分、ユニバーサル機は東京へ向けて出発した。
帆村は青い顔を窓から出して、見送りの栗山刑事へ手をふった。そしてほっと溜息をついた。
とうとう四日間というものを欺《だま》されとおしてきたのだ。
帆村の心は穏《おだや》かでない。
割り算の鍵《キイ》は一体どうなったのか。
鍵は解けないともいえるし、解けたともいえた。なぜなら予期した六桁の数は遂に分らないの
前へ
次へ
全22ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング