い順に字を並べてみるがいいだろう。
 その結果、次のことが分った。
 ン(二十九個)が第一位だ。次はイ(十四個)だ。第三位はカ(十一個)だ。
 それからは、ノ(八個)、マ(九個)、ト(七個)あとはずっと数が少くなっている。
「これはどうもおかしい。たった二百字の暗号文にしろ、日本文字の使用頻度の統計とだいぶん違っている。ヲ、ニ、ワ、ルなど相当多くなければならぬ筈の文字がこれには意外に少い。――それに反して、ンだとかカだとかいう文字が多すぎる。ことにンが二百字中に二十九字もあるのは、あまりに変態である」
 そこで袋探偵は、溜息を、一つついて鉛筆を取上げ、文字の第一番から一つ一つ数え始める。
「ここまでちょうど半分だ。これより前が百字。あとが百字。――こうして境界線を入れてみると、いよいよこれは何かあるな」
 クルマカンから始まってカンゼシナランまでと、次のイマケエイツから始まってタデレスハまでとに分けてみたのだ。
「ふうん。前半と後半とは、まるで他人のようだ。――そこでこれを仮りに別物としてみよう。そして分析してみる」
 まず前半からだ。出て来る文字の頻度をかぞえてみる。
 ン(二十五個
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