たのだ」
「ああ、するともしや……」と私は口に出しかけたが、気をかえて、「一体あのモヒ剤はどこから金が手に入れていたのかい」
「それが問題だったが、これも神戸で調べあげた。あれは某方面から密輸入をしたヘロインだったんだ。金はそれを手に入れたときに、あの用い方も一緒に教わったものらしい」
「では、相当貯蔵していたんだネ。でも金の部屋から、そんなものが出て来た話を聞かなかったじゃないか」
「そうだ。そこに面白い問題があるんだよ」と帆村はいかにも愉快そうに微笑《ほほえ》んだ。「いまにだんだん判ってくるから」
 そこへ君江がビールを搬《はこ》んできた。
「どうも済みません。今夜は御覧のとおりの大入《おおいり》で、うまく廻らないんですよ。まあどうでしょう。こんなに忙しいことは、このゴールデン・バットが出来て初めてのことなのよ」そういって君江は、白い指を顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》にあてた。
「君たちのサービスが良すぎるせいだろう」と帆村は揶揄《からか》った。
「どうですか――」と、君江はビール壜をとりあげて、帆村の洋盃《コップ》に白い泡を注《つ》ぎこんだ。
 丁度《ちょ
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