いのかしら」
「ここからはかった距離が二億五千万光年――というと、光の早さで走って二億五千万年かからないと、いきつかないところです。たいへん遠いですね」
「光はずいぶん早く走るんでしたわね」
「一秒間に、地球のまわりを七回半ぐらい走ります。数字でいうと、一秒間に三億メートルです」
「まあ、たいへん。そんな遠くまで、いけますの。あたしたち、途中で死んでしまいますわ」
「そうだ。人間は長生きをしても八十年か九十年だ。だから二億五千万年も走りたくても、生命がつづかないや」
「それは心配いりません。わたくしの樽ロケットは、光よりも早く走ります。一億光年を一分間で走ることもできます。よく見ておいでなさい」
 ポーデル博士は自信ありげにいった。
「では、ぼくたちの生命は大丈夫ですね。また帰ってくるまで、大丈夫ありますね」
「東助君、生命のこと、たいへん心配しますね」
「だって途中で生命がなくなっては、来月から『ふしぎ国探検』ができなくなりますからねえ」
「ほう、そうですか。では、あと十五分で、もとの原へもどしてあげます。だから心配いりません。さあ、それでは極微の世界にお別れして、逆《ぎゃく》の方向
前へ 次へ
全126ページ中86ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング