、どんどんとんでいくのですか。はげしすぎるではありませんか」
「はげしすぎることはありません。そのわけはこうです。地球は一秒間に三十キロメートルの速さで、空間を走っているのです。重力があれば、建物も人間も、地球の表面にすいつけたまま、このすごい速さで公転していくのですが、重力がなくなると、あのとおり、建物も人間も、あとへ取残されてしまいます。そして人間もけだものも植物も、みんな死んだり枯《か》れたりしてしまいます」
「それはたいへんですね。重力がなくなることを願ってはいけませんね」
「ははは。ほんとうは重力はなくなる心配はありません。しかしやがて、人間が発明するであろうところの重力を減らす装置を、うんと使いすぎると、あのような大椿事《だいちんじ》がもちあがるでしょう。そのことはあらかじめ、十分注意しておかねばなりません」
博士は、しんみりと警告をあたえた。
ポーデル博士の松永《まつなが》さん
その日、東助とヒトミが、ポーデル博士の飛ぶ樽《たる》の中へはいってみると、博士は、はだかになって着がえの最中だった。ふしぎなことに、前には羽織《はおり》や袴《はかま》がでている。
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