う。小さい穴、はいれました。そして中、このとおりなかなか広い」
博士は得意のようだ。いつの間にか服がかわっていた。探検家がアフリカの猛獣狩にいくような半パンツの軽装になっている。頭の上には、四角い大学帽のかわりに、白いヘルメット帽がのっている。そして口には、とうもろこしでこしらえたパイプをくわえて、煙草のけむりをぷかーり、ぷかーり。
東助は、自分のとおってきたあとを考えて、ふしぎでしかたがない。
「ここは樽の中ですか。それとも、別の場所ですか」
「もちろん樽の中です」
すると、自分たちのからだは小さくちぢまったことになるのかな。
「さあ、私がこれからこの樽を操縦しておもしろい国へ案内しますよ。あなたがた、そこのいすに腰かけて十五分ほど待つ、よろしいです」
そういうと博士は、操縦席らしいいすの一つに腰をかけた。そしてレバーをうごかしたり、操縦桿《かん》をひねったりした。かすかな震動《しんどう》が起って、部屋がうごきだした。
ああ、今、樽がとびだしたのだ。
どこへいく、奇妙な飛行樽は?
何の注射か
博士は、その行先について、なにも語らなかった。いってから、目をあ
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