いて、それから砲弾の方を合わせて置けば、砲弾は、どこまでも、目標を追いかける。先夜《せんや》、あなたがたを追いかけていったのも、その仕掛けのせいだ。尤《もっと》も、君たちに会えば、用がないから、わしのところへ戻ってくるように調整しておいたのだ。これはわしの自慢にしているからくりじゃ」
「なるほど。そんなことになりますかな」
 と、感心しているとき、監視部《かんしぶ》から電話がかかってきた。敵艦隊が遂に現れたというのである。博士は、すぐさま弩竜号に、浮揚《ふよう》を命じた。
「二百発の低速砲弾を、敵の四|隻《せき》の巡洋戦艦《じゅんようせんかん》に集中する。一艦につき五十発ずつだ。五十発の命中弾をくらえば、どんな甲鈑《かんぱん》でも、蜂《はち》の巣になるじゃろう。しかも、第一発が命中した個所《かしょ》を、次の第二弾が又同じ個所を狙《ねら》って命中するのだから、まるで、錐《きり》でボール紙の函に穴をあけるようなものじゃ。まあ、見ていたまえ」
 博士は、テレビジョンの映幕《スクリーン》を見ながら、八|門《もん》の四十センチ砲の射撃を命じたのであった。二百発の砲弾は、まるでいたずら小僧《こぞう
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