した。その中《うち》に細君が夫の科学的興味に共鳴をして、あの世の話をいろいろして呉れたのです。例えばあの世に行けば皆《み》んなが神様のお祠《やしろ》みたいな所へ入って、朝から晩までお勤行《つとめ》をしているというような事や、空中を白い着物を着て飛んで行ける事や、大体《だいたい》野原で、机が出て来いと言うと机が忽《たちま》ち出て来る。こういう物が欲しいと思えば直ぐ眼の前に現れるという、洵《まこと》にお伽噺《とぎばなし》の世界みたいです。それから守護神《しゅごじん》というのが附いて居って、この守護神は青年団の団長みたいに、沢山後からやって来る霊の世話をする。死んだ当時は非常に世の中が暗いが、だんだん修行している中《うち》に視力が恢復して来る。つまり夜《よ》が夜明けになって昼間になって来るように、だんだん明るくなる。百年も経《た》てば丁度真昼のように四辺《あたり》が明るくなる。細君もかなり修行したけれども、それでもまだまぶしい位の明るさしかない。そういうようないろいろ話をしまして、その守護神というものに頼めば、大体どんなことでもして呉れる。自分が今あなたに言って居るのも、その守護神の許しを受
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