くわ》しいことはもう忘れちまったが、何でも「思いつきは鳥渡《ちょっと》面白いが、いろいろ幼稚で成っていない。もっと勉強しろ」というようなことが書いてあったように思う。これを読んで、よし大いに勉強してこの次は入選するぞと興奮したことであった。後年「無線と実験」で乞《こ》われるままに、これを誌上に送ったが、いくぶん手を入れ、また落選作と分っては極《きま》りがわるいので題名を『壊れたバリコン』と変えた次第であるが、今から考えるとまことに相済《あいす》まぬことをしたと思う。
さて最後に据えてある『地球盗難』は、昭和十一年「ラヂオ科学」誌上に連載された科学小説であって、僕の書いたものでは最長篇であり、且つは最近の作である。それは宇宙の神秘を取扱ったり、妙な生物が他の遊星から飛来《ひらい》することなどは『崩れる鬼影』にちょっと似ているが、作者の覘《ねら》ったところはその題名に示す『地球盗難』なる不可思議なる四文字に籠っているのであって、自分としても相当苦労をした作品であるが、尚、これを書き上げるについて、柴田|寛《ゆたか》氏の激励《げきれい》と、友人|千田実画伯《せんだみのるがはく》こと西山|千
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