『十八時の音楽浴』の作者の言葉
海野十三
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)同じ版元《はんもと》から
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)廃刊や出版|止《どめ》があったり
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)卑猥《ひわい》[#「卑猥」は底本では「卑擡」]
−−
この書は、僕の科学小説集の第三冊目にあたる。
この前、同じ版元《はんもと》から『地球盗難』を刊行したが、これは意外に好評であった。この『地球盗難』はその後、三夜連続のラジオドラマとして放送され、更に好評を博した。それでいよいよ待望の科学小説時代が来たらしいと思ったわけであったが、途端に日中戦争が始まり、出版界は大動揺を来たした。読書界も、急に落着《おちつき》を失い、或いは方向転換をしたり、或いは廃刊や出版|止《どめ》があったりして、それ等のことはどっちかいうと意味なく騒ぎを惹《ひ》きおこし、そして拡大した。戦争前、今こそ科学小説時代が約束されたと僕が思ったのもほんの束《つか》の間《ま》のことで、編集者の狼狽《ろうばい》でもって、意味もなく、この約束もど
次へ
全8ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング