っているのがよく分る。はて、こういうわけなら、○○獣を生擒《いけどり》に出来ないこともないぞ」
「○○獣を生擒にするんですか」
敬二は我《われ》をわすれて躍りあがった。○○獣の生擒なんて、いまのいままで考えていなかったことだ。もし生擒にできたなら、○○獣の謎の正体もはっきり分るだろう。
二人が○○獣の生擒の話で夢中になっているとき、二人の傍には、いつ何処から現れたかしらないが、例の黒眼鏡の断髪《だんぱつ》の外国婦人が忍びよって、そこらに散らかっている雪のように白い木屑を、せっせと掃きあつめてはメリケン粉袋にぎゅうぎゅうつめこんでいた。
陥穽《おとしあな》
「おーい! 消防隊」
蟹寺博士は、すこぶる興奮のありさまで、向うに陣をしいている消防隊の方へ駈けだした。そして隊長らしいのをつかまえて、しきりに手真似入りで話をやっているのが見えた。すると消防隊は、にわかに活溌《かっぱつ》になった。大勢の隊員が、さらに呼びあつめられた。
「一体なにが始まるのかしら」敬二はそれが知りたくて仕方《しかた》がなかった。それで傍へ近づいていった。
蟹寺博士は、地面に図を描いて、消防隊長に
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