ならない。
3
真空溶媒(Eine Phantasie im Morgen)凡ゆる場合に詩人の心象はスケッチされる。万物交流の複合体は、すでに早くもその組立や質を変じて、それ相当のちがった地質学が流用され、相当した証拠もまた次々の過去から現出し、みんな二千年ぐらい前には青ぞらいっぱいの無色な孔雀がいたとおもい、あるいは白堊紀砂岩の層面に、透明な人類の巨大な足跡が、まったく発見されるかも知れないのだ。
楢と※[#「木+無」、第3水準1−86−12]とのうれいをあつめ
蛇紋山地に篝をかかげ
ひのきの髪をうちゆすり
まるめろの匂のそらに
あたらしい星雲を燃せ
dah−dah−sko−dah−dah
肌膚を腐植土にけずらせ
筋骨はつめたい炭酸に粗び
月々に日光と風とを焦慮し
敬虔に年を累ねた師父たちよ
こんや銀河と森とのまつり
准平原の天末線に
さらにも強く鼓を鳴らし
うす月の雲をどよませ
Ho! Ho! Ho!
原始林の香《にお》いがプンプンする、真夜中の火山口から永遠の氷霧にまき込まれて、アビズマルな心象がしきりに諸々の星座を物色してい
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