だだをこねる
辻潤

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)野晒《のざらし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)なんだが[#「なんだが」は底本では「なんだか」]
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 こねたところでまるめてみたところできなこはきなこである。かんでみたところでなめてみたところでマメはマメである。時に、ひどく欠伸がでてこまりもしないけれどなんにしてもやりきれない生活感情であることよ! おもしろくないことおびただしいので、私はつねにねそべってバットでも吹かしているのがこの上もない、パライソなのである。その上きれいな水とリンゴと青いものと小鳥の声でもあれば、申し分はない。おれは都会をすかん、ただある因縁によってしばらくがまんしているだけの話だ。私は五十年おふくろとつき合ってみたがまったく女というものはバカでこまるよ。そのバカなおふくろのおなかから生まれた私がどうしてバカでない道理があるものか? ザマア見ろ! てんだ。

        2

 おれには自分ひとりを支えてゆく能力さえないが別段恥かしくもおかしくもなんともない。おふくろ
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