ともあります。斯の子供らしさは、近所の他の家の娘にも起りました。私は三日ばかり激しい情熱に苦められたことを覺えて居ます。尤もその娘のことは直と忘れて了ひましたが……
 ある日、私はお文さんに誘はれて隣の家へ遊びに行きました。酒屋の香氣《にほひ》のする庭を通り拔けて、藏造りになつた二階の部屋へ上つて見ました。隣とはよく往來《ゆきゝ》をしましたが、そんなに奧の方まで連れられて行つたのは私には初めてです。丁度そこへお文さんの兄さんの道さんがやつて來ました。道さんはお文さんや私より二ツ三ツ年長《うへ》の少年で、村の學校でも評判な好く出來る生徒でした。
 其日まで私は夢中でお文さんと遊んで居て、第三者といふものの有ることを知りませんでした。お文さんの部屋で、道さんと一緒に成つて見て、それが解つて來ました。私は唯道さんに見られたといふだけで、何となく少年らしい羞恥を感じました。それきり私はお文さんを離れて、今度は道さんだの、それから他の男の兒と遊ぶやうに成りました。
 お文さんは相變らず吾家《うち》へ手習に通ひました。しかし私が道さん達の仲間入をするやうに成つてからは、以前のやうに彼女と親しくしま
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